キャリア・教育

2024.05.05 13:00

「マウンティング」で人間関係を壊していないか? その根深い原因と対策

安井克至

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マウンティング(One-upmanship、優越感の誇示)は、人が他者に対する優位性を主張するために、微妙または露骨な競争心を見せる一般的な現象だ。人間関係の中で、この現象は、パートナーや仲間を追い越したい、影を薄くしたり貶めたいという絶え間ない衝動として現れる。

そのマウンティングの根底にあるのは、比較によって肯定と承認を求めるよう人を駆り立てる根深い不安なのだ。最初は無害な冗談や遊び心のあるライバル関係のように見えるが、その根底にある動機は不和と憤りの種をまく可能性がある。自分の価値や優位性を示す必要性が常にあることで、緊張と不信の雰囲気が生まれ、相互の尊重と理解の基盤が徐々に侵食されていく。

以下は、「マウンティング」の背景にある3つの心理学的説明と、それらにあなたの人間関係を侵食させないための予防策だ。

1. 劣等感

劣等感は、個人の精神に浸透している根深い不全感だ。多くの場合、幼少期の経験や社会的な比較に端を発し、他人と比べて本質的に劣っているという信念を持つようになる。劣等感に悩む人は、知性や社会的地位などのさまざまな側面で、自分が欠けていると感じている。

この劣等感を補うために、人は「マウンティング」という対処法に駆り立てられることがある。自分の欠点を補い、不全感を和らげるために、他者からの承認を求め、優越を主張する。これは関係性の中で、自慢したり、相手を見下したり、常に承認を求めたりするなど、パートナーや仲間を凌駕しようとする習慣的な試みとして現れるかもしれない。

しかし、マウンティングを通じて承認を追求することは一時的で空虚であり、根底にある不安感を一時的に和らげるだけである。パートナーは価値を低く見られていると感じ、怒りや心の距離につながる可能性がある。研究によると、自尊心が低い人は、しばしば自分の関係性について否定的な感情や評価を抱いている。その結果、この不安感と不満から、個人はパートナーからの信頼、愛情、思いやりのレベルに疑問を抱くようになり、恋愛関係の終結につながる可能性がある。

劣等感に対処するには、自己認識と自己受容、そして専門家による治療を通じて、歪んだ考え方に挑み、自分自身を受け入れることが重要だ。共感と自己成長を通して、マウンティングの傾向から解放され、信頼と絆に基づく関係を築くことができる。
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翻訳=酒匂寛

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